いつもと同じ事


いつもと同じ時間


が過ぎるはず




だった













HOWL'S MOVING CASTLE

もうひとつのお話 Page.01 −物語が始まる−









ぼおぉーと機関車の音が外に響く。

その傍ら、ソフィは仕事部屋で帽子を丁寧に作っていた。


今時にしては珍しい、短い黒髪のショートに
薄緑のワンピース。

親友の隣の喫茶店の娘の
いつもと変わらず遊びに来ていた。

最初は、みんなで仕事の邪魔だからといっていたが、
毎日しつこく来るため、
一切帽子に許可なく触らないという約束で
店に遊びに来ている。



「なんでソフィってそんなに裁縫が上手なの?」


はソフィの隣に座りソフィの手元を見ている。
カラフルな布のコサージュがソフィの手により
縫い付けられていく。



「ふふふ。仕事だからよ」


ソフィは笑いながら返事をした。


「あなただって、運動神経すごいじゃない」


ソフィは糸を切り、帽子を台に置く。


「運動神経は生まれつきよ」


は肘を台に付き、あごをかけた。




「あら、それがいいんじゃない」


ソフィは微笑む。


「そうなのかなぁ・・」


は窓から見えるいつもと変わらぬ町並みに目を落とした。









「あれ・・・。あれって・・?」


はスローで空いたほうの手で窓の外を指差した。



「ん?どうしたの、 ・・・」



ソフィも の指が指す方に目を移す。









どたどたどた













「あっ、あれってハウルの城じゃない?!」




わーきゃーと仕事部屋の外から声がする。




「・・・隠れちゃった」


部屋の外からは他の店員の声が響く。











「あたしが先に見つけたのに・・」



はむぅとほっぺを膨らました。




「・・・確かにそうね」


確かに の指先はもう隠れてしまったが
ハウルの城の方向を向いていた。







「さぁ、そんな事行ってないで。もう行きますよ」



もう出かける用意をしたおばさんの一言に
と隣の部屋の窓からぞろぞろと女たちが消えていく。




「南町のマーサって子、
ハウルから心臓盗られちゃったんだって〜」


きゃ、きゃと部屋の外が騒ぎ始める。




「ソフィさん、 さん。あたしたちはもうでかけるけど、
ふたりは行かなくていいのかしら?」





「ええ、これを仕上げたいから」


「あたしもいいです、ソフィと一緒にいます!」


ソフィと はにっこり微笑んでいった。




「そう、じゃあ行きましょうか」




「は〜い」



ぞろぞろと女たちが店の外へ出て行く。














「・・・さて、私も出かけましょうか」


ソフィは仕事台から立ち上がる。




「ソフィ、出かけるの?」


「ええ、 も来る?」




「あたしも行く!」



「そういうと思った。では行きましょうか」


ソフィはお気に入りの麦藁帽子を深くかぶった。












かちゃ



ソフィは と戸締りを確認した後、鍵を閉めた。



「なんで裏からなの?」


はソフィの隣を歩き出した。






「いいから。いきましょ」



ソフィはかつかつと足を鳴らした。






「あっ、待ってよ、ソフィ!」


は早歩きで後を着いていった。






その後も、ソフィは家の影を歩いていく。


最初は が話しかけていたが
ソフィが急に話さなくなったため
二人は口を閉じて家と家との隙間を歩いていった。










「お〜っと、ストップ。可愛らしい、羊さんたち」




二人の前に大きな影がかかった。



「なんの御用でしょうか?」


ソフィは冷静に返事をする。




「そんなに冷たくしないでよ。
俺たち今、暇なんだよ」



この辺の警備の男だろうか、
急に話しかけてきた。




「おいおい、ほどほどにしておけよ」



「だぁ〜い丈夫だって」




「結構、可愛らしいじゃん、ふたりとも」




「私たち、これから行かなきゃならない用があるんです」



は警備の男に目を移す。




「そんなこと言わないでさぁ・・・」





「お願いします。通してください」


ソフィも少し俯いているが反抗の意を返す。





「俺たちと・・・」


警備の手が二人に伸びた。






はバッと自分流の先頭体勢に入った。
もちろん、ソフィを背中にして。










「ごめんね。待った?・・この二人、オレの連れなんだ」



ふわっと二人のわずかな隙間を縫って二人の肩に手が伸びた。




「じゃあ、そういうわけで、
君たちにはパトロールにいってもらおうかな」



人差し指がくるっと円を描く。

そのとたん警備の二人組みは足をそろえて奥へ歩いていった。



「えっ、えっっ!!?」






「・・・ごめん。面倒なことにあわせちゃったね。
実は追われてるんだ」



青年は後ろにちらっと目を動かした。

ピンク色のブレザーに白いシャツ。
きれいな金色の髪と、透き通った青い目をしている。




後ろからは黒い人間がどろどろと家の壁から出てきた。




「じゃあ、ふたりともこっち!」


青年はソフィの肩をつかんだ。
ソフィはとっさに の手つかんだ。

二人は青年に引っ張られていった。









「・・・な、なんだ?」


の口からぼそっと本音が飛び出た。
ソフィは驚きのあまり声が出ないようだった。






少し三人で路地を走っていると向かいからも
黒い人間がいっぱいどろどろと現れた。




「・・・おっと」



男は歩を止めた。

つられて二人も歩を止める。


後ろと前からは黒い人間が追いかけてくる。






「ど、どうするの?」



は男のほうを見た。

ソフィは相変わらず声が出ないままだ。



「こうするのさ」




ぶわっと三人の足元が空に浮かんだ。












→NEXT




書いてしまいました・・・。
DVDを見て、すっかりはまってしまったため
ほぼ、ノリで書いています。
全体的に頭の中ではできているけど、
最終的にはどうなるか予想も付きません。
すいません・・。

気長に、見守ってください。

05/11/25 神風 霰



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