もうそろそろ


日も暮れる




もうひとつのお話 Page.4 -不思議な夜-






「ねぇ、お姉ちゃん。一生、あの店でやっていくつもりなの?」


ふたりの帰り際、ベティがソフィの手を握り、話した。



「ええ。お父さんが大事にしていた店だもの」


ソフィは口をあける。


「それにあたし、長女だから」



「そぉじゃなくて!
あたしは本当に帽子屋になりたいか聞いてるの!」



ベティは少し声を大きくした。



「それは・・・「ベティ!」



「またね」


「はーい。今度また遊びにきてね」


大きな身体をしたエプロン姿の男が店から出て行く。




「じゃぁ、そろそろ帰るね。
、もういいかしら」



ソフィはベティに背中を向ける。


「いいよ。じゃぁそろそろ帰ろっか」


もソフィの後へ続く。




「おねえちゃん!
自分のことはちゃんと自分で決めなきゃダメだよ!」



ベティは遠くなっていくソフィに声をかけた。



さん!お姉ちゃんのこと、お願いします!」



「ええ!わかってるわ!」


はソフィを追いかけながらベティに手を振った。


「余計なお世話よ」

ソフィはぼそっと呟いた。

























ソフィと は日が暮れたころ、帽子屋に帰宅した。




「すっかり暗くなっちゃったわね」



ソフィは鍵を取り出し、
鍵がかけられた店の扉へ足を運ぶ。

も続いた。


、今日はもう遅いから、家に泊まっていって」



「え、いいの?ソフィ」


は少し目を輝かせた。


「こんな遅くまで一緒にいるのは久しぶりだもの。
たまにはいいじゃない?」


ソフィは鍵を鍵穴にさし、
くるっと の方を向いて微笑んだ。


「やった〜ぁ。ホント久しぶりだ」



ソフィと は帽子屋へ姿を消していった。


そしてドアの鍵は閉められた。










からんからん








店のドアにつけられた古びた小さなベルが遠慮がちに音を響かせた。



ソフィはかぶっていた帽子を帽子掛けにかけ、
はトイレに行っていた。




「あら、鍵は閉めたはずだけど」


ソフィは少し足早にカウンターへ足を運んだ。



もちょうどトイレから出てきたところで
ドアのベルに気づいた。

もカウンターへ足を運ぶ。





「申し訳ありません。もう、店は閉店しました」


ソフィは帽子が並べられた売り場へ顔を出した。




「なに、この店。しけた店ねぇ」



大きな身体をした女が帽子を眺めていく。


ソフィは少し声を大きくした。





「申し訳ありません。鍵がしまっていたはずなのですが」




それでも女は店を出て行こうとしない。




「そして安っぽい店。そして・・・貴女たちも」







はちょうどカウンターの裏で客らしい女の声を聞いた。

直感で はカウンターの裏の壁に姿を隠す。





「ここは、ちっぽけな帽子屋で・・「五月蠅いわよ」



女はソフィの言葉を無視し、口を開いた。




「・・・お引取りください」


ソフィは早歩きでドアへ行き、ドアを開けた。







「貴女。そしてカウンターの裏の貴女も
荒地の魔女に向かって、いい度胸してるわね」






荒地の魔女はソフィを見つめた。

そしてカウンターの裏にも目を向ける。





何かに貫かれたような感覚が の身体に走った。
はソフィが危ないと直感が走り、
カウンターの裏から走り出した。



ソフィは驚いて声も出ない。



「荒地の・・・魔女?」
「荒地の魔女だってっ?」


やっとのことでソフィは口を開く。

ソフィと の声が重なった。



すると開かれたドアから黒い肌をしたタキシード姿の人間が
二人現れた。


「はっ・・・」

「な、何っ・・」


ソフィは固まり、 は更に走り出した。









ぶわぁーーーっ






荒地の魔女は浮き上がり、ソフィ、 の順に通り抜けていった。



生ぬるい風がふたりを一瞬包み込んだ。








「ふふ。そのふたつの呪いは人には話せないからね」






魔女は微笑んだ。






「ふたりとも。ハウルに宜しくね」


「ふふふふ・・・」



ドアは少し乱暴な音を立て、

閉められた。

















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第4話。終了しました。
忙しさのあまり久々の更新となってしまいました。
すいません。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。

神風 霰 06/06/04/SUN




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