只今


巨大台風接近中。


ここ立海大テニス部にも


台風がやってくる?





台風接近。





窓の外は木々は激しく揺れ、勢いよく雨粒が打つ、
危険地帯になっていた。

立海大の男子テニス部一同は
大会間近ということもあり、
職員室の方から許可をもらい、
ミーティングをやらせてもらっていた。


そのミーティングも終わり、
家の近いものはいやな顔をしながら
ぞろぞろと教室を後にした。




「しかし・・・かなりすごい雨じゃのぅ」


仁王は雨粒が次々とたたきつけられる窓を見ながら呟いた。


「ここから家が遠いものは皆、足止めを喰らってしまいましたね」


柳生が仁王が見ているらしい窓を一緒になって見る。



「天気予報が外れるとは思っていたが、
まさかここまでとはな」


柳は腕を組み、窓を遠くから見る。



窓はすべてがたがたとすごい音を立ている。




「蓮二。今、 と職員室に行ってきたが
ニュースはここはちょうど暴風域に入っているみたいだ」

真田が柳に言った。



「すまぬな。弦一郎。お・・・ といってたのか」


柳はほう・・と少し両目を開眼する。



「あぁ」


真田は廊下から教室へ足を進める。



教室はしんとした空気に包まれた。








「真田さん! センパイと一緒に職員室に行ったんスか?」


赤也がそれにすばやく反応した。
そして背後から異色のオーラが漂う。




「あぁ、そうだが」


真田はひとつも表情を変えずに答えた。



「一言もオレ等に言わないで行ったのか!真田!!」


ブン太は座っていたいすからがたんっと立ち上がり叫んだ。



「そうだったのか・・」

ジャッカルも真田を見つめる。



「心外だな。弦一郎」


柳の目はすでに開眼しきっている。



「・・・まあ、
もう終わってしまったことはどうにもできませんが、
さんはどこにいるのです?真田君」


柳生はちらりと真田を両目に捕らえた。



「・・・・」


仁王はあいかわらず雨の打つ窓を見つめている。





「そうだ、そうだ! がいないじゃねぇーかっ!!」


ブン太は教室を見渡す。


センパイはどこにいったんでスか。真田さん」


赤也の目が光る。



レギュラー全員の目が真田を睨む。







「・・ は職員室か。弦一郎」


柳は目を閉じた。


「・・・さすが蓮二だ。
ミーティング前、担任に日誌を渡しそびれたらしくてな。
渡しにいったのだ。」


「なぜ、廊下で待たなかったのだ。弦一郎」


柳の一言がすばやく真田に向かう。



「それについては俺も待つといったのだがな、
が少し遅くなると皆に伝えておけと言われてな。
しばらくもめたがしかたなくきたのだ」


「そうですか。しかたありませんね・・さすがは真田君です」


柳生が二人の話に終止符を打つ。



「そうっスか。なら今から、
オレが センパイを迎えにいってきますよ」


赤也はすばやく自分の鞄を取った。



「いや、オレが行く」

ブン太は立ち上がりいすを元に戻した。



「待ちなさい!赤也、丸井君!」


柳生の一喝が二人を止める。
だがそんな柳生の一喝など二人を止めることなどできなかった。



「そうだ。待て。赤也、ブン太」

柳は足を速めようとする冷静に二人に言った。


二人の足はしぶしぶ止まる。







「弦一郎の手が飛ぶところだったぞ」


柳は真田を見て言う。



「そのとおりだ。赤也、ブン太。
うるさくなるに決まっている。
先生方に迷惑をかけることなどするな」


職員室だぞ。と真田は腕を組む。



「わーったよ」


ブン太は両手を挙げる。



「スんません」

赤也も座っていた席に戻りはじめた。








「みんな、ごめんね〜。遅くなっちゃって」


データのまとめは終わった?とのんきに は階段を上ってきた。


だがその一言で、今まで教室に張り詰めていた空気は一瞬で変わる。



「あぁ、8分前には終わっていた」


柳はいつもデータをまとめているノートを に渡した。


「ありがと。柳君」

はにっこりと微笑んだ。



「なに、容易い事だ」

柳はそれを見てすぐさま顔を背けた。
頬は少し桃色に染まっている。



「雨が止んだようじゃの」


仁王は鍵を外し、がらっと窓を開ける。

すごい風が教室に入ったが、すぐそれも穏やかな風に変わった。


「早めに帰ったほうがよさそうですね」


また降り始めますよと柳生は自分の鞄を取り出す。



それ聞くなりレギュラーたちはそれぞれ鞄を取り出す。


もそれを聞くなり、そうだね!と少しあわてながら鞄を取り出した。






さん」

「なぁ、

「おぃ、

センパイ」






「いっしょに帰らないか?」


真田、柳、柳生、ブン太、ジャッカル、赤也の声が重なる。




「へっ・・・あ、あたし??」









しばらくの沈黙の後、
驚いた顔で はつぶやく。























「ふっ・・・くだらんのぉ」


仁王は目を細めて机にかけた鞄を取り出す。
















「それはどういうことだ、仁王」

真田は腕を組みなおして重い声で言った。



「予想外だな。データになる」

柳は怒りをこめた声で話す。










「そんなことしたって が振り向くわけないからのぉ」

仁王はくつくつと歯を食いしばって笑う。












「ないいってあがんだっ!この変態仁王!!」


ブン太は怒りくるって机を蹴飛ばす。




「いいかげん、切れまスよ」

赤也からのオーラは赤み帯びてきている。





「非常識ですね・・・仁王君」


柳生は眼鏡を中指で上げる。





「なんとでもいえよのぉ。
そんなもの、 がすべてを決めるんじゃよ」



仁王はすたすたと教室の出入り口まで歩を進める。



それをレギュラーたちは睨むように目で追う。































「すべて、何事も、早いモン勝ちじゃよ」




仁王は の手を捕った。












「行くぞ。


仁王は の耳元で囁くように言った。



仁王は をひっぱり昇降口へ続く階段へ走り出した。







「へ。・・えっ??!ちょっと待って!に、仁王!!」




ぼすっと は鞄を落とした。




あたしの鞄!と は大声で叫ぶ。




だが、落とした鞄を仁王は床につく瞬間に長い手を伸ばし掴み取る。







「いつまでたってもおまえのドジは直らないじゃの」





また仁王はくつくつと笑った。


まるでいたずらをしでかした子供のように。








「大きなお世話よ。このバカ」






それにつられて もふっと笑いだす。










仁王と を追いかけるレギュラーたちを背にしながら。









空の嵐は止み、


風は涼しく流れるが、


陸の嵐はまだ止む気配を見せない。









END.






05/09/30

Very thank you!
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