手に届きそうなほど

近くにありそうで



でも

届かない

そんな君に

恋をした





届かないと知りながら





今日もいつもと変わりのない時が過ぎて行く。

柳はそんなことを思いながら

テニスバックを肩にコートへ続く道を歩いていた。



「そろそろ練習試合だな・・」

そんなことをぼそりと呟く。
いつもの自分らしくなく、独り言などを呟く。




独り言を呟いてから数秒後

後ろから自分の歩いた方向からとたとたと小さな足音が聞こえた。



「この足音はやはり・・・」

また柳は小声で呟く。





「柳君!」




息を切らしながら走ってきたのは他の誰でもなく
男子テニス部マネージャーの だった。

は誰にも優しく、自分より人のことを第一に考え
男女関係なく誰からも 恵に授かっている。

だが、少し 的な性格が更に結びつき、
柳の調べからも を信頼以上に想う者も少なくない。




「柳君って結構歩くの早いんだね〜びっくりした」


は相当走ったのか膝に両手をついて
息を切らしながら柳にいった。



「そうか?」

柳は少し考えながらも を見た。




「うん」

は微笑んで返事をした。



なにやら柳の胸が騒ぐ。


どくんどくんとまるで段々と鼓動が早くなるように。
柳は未だ自分の胸が騒ぐ訳が分かっていない。

何故、何故にこんなにも胸が騒ぐのだろう。
過去の記憶を張り巡らしてみても、
といるときしか頭に浮かばない。



「な・・なんか、真田君が・・言ってたけど、緊急で
ミーティングになったって・・・」


は手で胸を押さえながら体を起こした。




「やはりな・・・どおりで連絡が遅いと思ったら
弦一郎が連絡そびれたのか・・・」


柳は空を見上げる。
たしかにいつもなら青く綺麗な空を
雨雲が濃い灰色に空を包みこんでいる。



「ち、違うの!柳君!
私が職員室に行く用事があったから、それに
蓮二に伝えるのは後でもいい、
あいつなら気づくだろうって
真田君も言ってて・・・
私は先に伝えたいって言ったんだけど・・・」


は下を向いた。




その の小さな行動にさえ柳の胸はまた鼓動を早めていく。



まただ



柳はその訳の分からない鼓動のする訳を探し出した。


治まる様子を見せない自分の鼓動
なにが原因でこの鼓動が起こるのだろう

この鼓動とやらは他の奴等もあるのだろうか










「ごめんね・・・」




は少し両目に涙をためながら柳に謝った。




「そんなことはないっ!」



柳は が謝った直後に言い返した。


「えっ・・?」

は驚いてもう一度柳を見つめる。



「っ・・・」


「すまない・・怒鳴るような形になってしまって」



柳は自分を疑うように片手で額を押さえながら言った。



何故に大きな声を・・・

そしてなんなんだ今の言葉は・・・。




柳は波打ち続ける胸の鼓動に疑問をぶつける。





「ううん・・・ぜんぜん大丈夫。
でも柳君も大きな声出すんだね」



は薄暗い空を見上げた。



「でも、よかった」



「何がだ?」


手で額を押さえながらもなぜか気になるのか柳は
今度は に疑問をぶつける。






「えっ・・・」


はなぜか知らないが頬をほんのりと赤く染めた。


その の顔に柳は目を開く。




「何がって言われても・・・


柳君の意外な一面が見れた・・・からかな・・?」


は恥ずかしさの余りか目をぎゅっとつぶった。



その行動に柳は のひとつの行動に疑問がひとつ解決した。




「・・さっ、急いで教室に行かないと!
もうミーティングを始まっちゃってるだろうし!」


雨も降ってきちゃうと はくるっと柳に背中を向け、
いつもより少し早めな速度で歩き出した。
の後姿を見ると、
髪の横から少し顔を出す両耳が真っ赤に染め上がっていた。






嗚呼 なるほど

俺は に恋とやらをしているのか

この鼓動、

この思考

すべてが最後に にたどり着く。


あれを見る限りもしかしたら も・・・






「全く、不思議なモノだ・・」




柳は最後にぼそりと一言呟いた。

そして耳を染める の後を追うように足を進めた。




















初、お題夢完成です!!
読んでくださった皆様申し訳ありません!
こんな駄作を読んでくださって!
焦りながらも大急ぎで書いてしまいました・・・
夢は時間をかけて書くものだと改めて思い知らされました・・・
お題提供してくださった路サマ・・・初がこんなのでスイマセンです。

霰 2005/07/29




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