楽しそうなところ悪いけど


いぃかな…??



50mの予定。



50mの騒ぎは瞬く間に学年中の駆け回った。

クラス隔てなく女子は にたかり、
『海堂くんとなんで一緒に走るのか』
を随分飽きるほど質問攻めにされた。

その度に は答えた。

答えは勿論、同じ。






「どのくらい早いのか一緒に走って確かめたいから」



海堂自身には話せなかったが
やっぱり陸上部でしかもレギュラー。
女子でも青学を背負っている一陸上部員に変わりはない。
なので周りは騒いでいるが男女関係なかったりするのだ。


「…でも海堂ってモテるんだね」



「はぁ?…そ、そんな訳ないだろ」


50m対決の準備は少しずつではあるが
お互いが時間を取れる休み時間に予定などを出し合って
ルールや日にちを細々と相談しあっている。




「でもレギュラー決まったあたりから
調理実習のパンケーキとかいっぱい山になってるじゃん」


机も列を挟んで隣同士だから が椅子をひっぱてきて
海堂のほうへ向けてプリントやらルーズリーフやらを
膝の上に広げている。


「・・・・ふしゅー」


答えに困ったのか海堂はむすっとして腕を組み、そっぽを向いた。



「ふしゅー言われてもねぇ。
謎な無言返答は肯定とみなしますよ?あたしは。

とにかく…話し戻すけどあとはゴール横でタイムを計ってくれる
タイムキーパーさんが必要なんだけど・・・どぉする?」



「・・・ふしゅー」

海堂は無意識に自然とため息的なものが出た。

なんだか知らないがどこかほっとしている自分が居る。
いつもなら無言で返して終わりにする自分だが
何故さっきは違ったのか。











「タイムキーパーか、面白い。
俺が引き受けよう」





「い、乾先輩っ?!」

海堂は慌ててがたんっと椅子から立つ。

「こ、こんちわっす。
どうしたんですか、わざわざ俺のクラスまで」




「いゃ、データ収集も兼ねた届け物をね」

乾はぴらっと手に持っていたクリアファイルから一枚プリントを出した。


「緊急のミーティングが次のオフの日にあるそうだ。
実際、これでオフではなくなったわけだ。
でも30分程度だと大石も言っていたし
二人の50m走対決は十分可能だな」


乾は逆光をさせながらメガネをかけなおす。
口元が少しにやけて見えるのは気のせいか。



「な、なんで先輩がご存知・・・なのでしょうか?」

は噂話は聞くが初対面の乾に対して緊張を覚えるのか
話し方がいつもより片言になっている。
敬語が混じっている所為もあるのか言葉ががたがたになっている。


「嗚呼、君だね。あの噂の陸上部のレギュラー2年女子は。
ちょっとデータでね。君は短距離が得意みたいだね」



「なんでそんなことまで知ってるんですかっ??」


あまり存在感はないと思っていたのに、と はあっけにとられて言葉をこぼす。







「「…うるさいくらいだ/じゅうぶんだよ」」


海堂と乾の言葉が重なる。


「そ、そう・・ですか?」

海堂の言葉には眉をひそめつつもすっとんきょうに答える。




「お前を知らない2年はいないと思う」

海堂はぼそりと口走り

「3年の中でも有名だよ。・・いろんな意味でね」

乾は笑いながら話す。




「実はその50m走で海堂に一緒に走るライバル…
つまり併走者がいた場合のタイム等をデータとして記録しておきたいんだ。
俺でよかったらそのタイムキーパー、やらせてくれないか? さんに海堂」


「…名前まで」

はきょとんとするばかりだ。
乾のデータマンな言葉に驚きを隠せない。





「あたしは全然。むしろ助かります!」


は明るく微笑んだ。


「俺も…よろしくお願いします」

海堂が軽く頭を下げる。



「決まりだな。礼を言うよ」

乾はにやり、と微笑むとどこに持っていたのであろうデータノートを
開き、カリカリと何かを記入し始めた。





「…これでよし。
じゃあ詳しくは部活の後にでも海堂から直接聞くよ。
では邪魔したね、二人とも」


「はい!ありがとうございました!!」

は椅子から立ち上がって頭を下げた。

「・・・っす」

海堂も軽く頭を下げる。





『海堂が惚れるのも、わかる気がするよ』


「な、ッ…!!!?」


乾は海堂に耳打ちするとぽんっ、海堂の肩をたたいて
今度こそ本当に用が済んだのかあっという間に教室を出て行った。






「乾先輩か、後輩のデータを取るなんてすごい先輩だね」

は椅子に座るとルーズリーフの『タイムキーパー』の欄に
『男テニ 乾先輩』とシャーペンを走らせる。



「っー…
乾先輩は俺の専用メニューも作ってくださっている」


海堂は何かをごまかすように次の授業の教科書を出しながら補足した。




「へぇ。あたしには真似できないわ。すごい先輩だね」


も教科書を出しながら話す。


「データだけじゃない。乾先輩が作る他のモノもすごいからな・・・」

海堂は部活での罰ゲームに出てくる乾汁を思い出し
背筋を少し青くする。




「へ、へぇ。。海堂がそんなになるくらいだから
すんごいモノなんだね、きっと」

は驚きながらも海堂を見てふわりと微笑んだ。






「…っ!・・・・・・ああ」


海堂はまたか、と の笑顔に頬を染め、言葉を詰まらせながらも答えた。



「何、顔、赤いよ?海堂。大丈夫?」

は自覚が疎いようだ。








→つづい…ちゃいますよ?!

やべぇな、書いてて楽しいよ、コレ。 神風 霰



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